パソコンは新しいものをお得に購入する方法に気を取られがちですが、実は処分するときにも様々なきまりがあります。
パソコンは数年置きに買い替える機材ですので、廃棄の問題も数年置きに発生します。
この記事では、引取・買取・廃棄などのパソコンの処分方法を解説していきます。
パソコンの処分方法
パソコンの正しい処分方法は?家庭ごみとして廃棄できないので注意
パソコンの正しい処分方法は日本の法律で決められています。
パソコンの処分に関わる法律についてと、実際にどう処分すれば良いかの実践編に分けて解説していきます。
パソコンは資源有効利用促進法で規定されているため家庭ごみとして処分できない
経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden/index02.html)
パソコンの部品に使われている金属や半導体は貴重な資源と考えられており、日本においては1991年の資源有効利用促進法により、全てのパソコンについてごみとして捨てずにリサイクル業者に引き渡すことが義務化されています。
しかし、末端のパソコンユーザーが古くなったパソコンを各々リサイクル業者に渡しているという話は聞いたことがないですよね。ユーザーが意識せずとも廃棄パソコンがリサイクルを経るような仕組みが出来上がっています。
気を付けることは一点、パソコンを家庭ごみとして捨ててはいけない(回収を拒否される)ということだけです。
2003(平成15)年10月以降に販売されたパソコン
家庭向けパソコンについては、2003年10月以降に販売されたパソコン全てに「PCリサイクルマーク」というシールが貼り付けられており、購入時から廃棄・リサイクルの処分の責任をパソコンメーカーが持っています。
ユーザーの行動としては、パソコンを廃棄する際は各メーカーに送付するのが一般的の内容に沿ってください。
2003(平成15)年10月より前に販売されたパソコン
2003年10月より前に販売された古いパソコンについてもリサイクルの義務が発生しています。
パソコンにPCリサイクルマークがない場合、パソコン3R推進協会に連絡し有償で引き取ってもらうことになります。
しかし、有償引き取り以外にもお金をかけずに処分できる方法を記事の後半でいくつか解説していますので、パソコン3R推進協会への連絡は最終手段と考えてください。
パソコン処分する前には内部のデータを消しておくようにする
パソコンの処分時にはリサイクル業者側でも、データが入ったSSDやHDDに穴を空けるなどでユーザーの秘密を保護する取り組みがなされています。
しかし、自分の手を離れた後に誰が悪意を持ってデータを盗むかは分かりません。
- 銀行やクレジットカードなどお金に関する情報
- 自分や知人の連絡先などの個人情報
- 様々なサイトのパスワードや履歴
これらの情報を守るため、できる限り自分自身でデータを消してから処分したいものです。
データを消す方法は3つ!いずれかを実施する
- Windowsの標準機能「このPCをリセット」「このPCを初期状態に戻す」で初期化する
- 専用のデータ消去アプリを使用する
- HDDやSSDを物理的に破壊する
Windowsの標準機能である「このPCをリセット」「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法と、専用のデータ消去アプリを使用する方法があります。
家庭用パソコンであれば初期化でも十分ですが、職場やグループなどで複数台のパソコンを使用している場合はアプリを用意した方がかえって効率が良いでしょう。
また、一番確実なのはパソコンを分解してHDDやSSDを取り出し、実際に破壊することです。
専用器具が必要・無理をするとけがの恐れがあるなどで強くはおすすめできませんが、最も強力なセキュリティ対策でもあります。
内部のプラッタ(円盤部分)や基盤を破壊することが目標ですが、コネクタ部分を曲げて壊すだけでも情報を盗もうとする犯罪者に一定のけん制となります。
破壊した部品は燃えないごみとして処分できる自治体が多いでしょう。
初期化に関係した過去の記事
データ消去アプリに関係した過去の記事
物理的に破壊する方法の参考記事
パソコンを廃棄する際は各メーカーに送付するのが一般的
パソコンを廃棄する際は、購入したパソコンのメーカーに送付するというのが一般的で一番楽です。
主なパソコンメーカーの送付先は以下の通りになります。
集荷や配送については、郵便局がパソコン類の回収専用に用意しているプラン「エコゆうパック」を利用し送料はメーカー負担です。
(廃棄するユーザーの立場では送料無料)
法人パソコンの場合はパソコンの価格にリサイクル料が含まれておらず、PCリサイクルマークの添付がないため注意が必要です。
法人ではパソコン購入時に処分をどうすべきか検討しておく必要があります。
- 直接購入ではなくリース契約にし、処分はリース会社に任せる
- 直接購入する場合は、家庭用パソコンとして販売されているPCリサイクルマーク付きの商品を選ぶ
- PCリサイクルマークなしのパソコンを廃棄する場合は、パソコン3R推進協会に連絡し有償で引き取ってもらう
【環境省認定】送料無料で引き取ってくれる会社もあります
最終手段であるパソコン3R推進協会に連絡し有償で引き取ってもらう方法以外に、環境省が認定している送料無料で引き取ってくれる業者を利用するという選択肢が用意されています。
リネットジャパンは独自の無料キャンペーンを行っており、送付する廃棄物の梱包内にパソコンが含まれていれば無料としています。
箱の大きさや、どのような機器をパソコンと判断するかなどの条件がいくつかあります。リネットジャパン公式サイトのチャットなどで問い合わせをし、無料回収の見積もりを取ってから実際の送付に移りましょう。
新しめのパソコンであれば買取業者に引き取ってもらうことも可能
使用年数が新しくまだまだ使用できるパソコンの場合、廃棄するのではなくパソコン買取業者に買い取ってもらうという選択肢があります。
いわゆる分解して原料に戻すという意味のリサイクルではありませんが、ユーザーにとっては処分することには変わらず、売却益も出るというメリット付きです。
主要なパソコン買取業者は以下の通りです。
- ラクウル(ビックカメラ)
- TSUKUMO(ヤマダ電機)
- デジタルドラゴン(パソコン工房)
- その他、ブックオフ・ゲオ・買取王子などの有名な中古品買取業者
パソコンを分解すれば家庭ごみとして処分できる
裏技としてパソコンを分解・裁断し、細かい金属ごみにしてしまうと家庭ごみとして処分できます。
ごみ収集員が現場でパソコンを回収拒否にするどうかの判断基準は「パソコンに見えるかどうか」です。
たとえばパソコンからマザーボードなどの部品を全て抜き、外側のケースだけを捨てようとすると「パソコンに見えるので回収できません」と言われることがあります。これは仕方がなく、ごみ収集員を責められないところです。
パソコンの原型を留めないくらいの分解をしないと回収を拒否されるため、手間がかかります。
また、モニターの液晶をはじめとした部品内部の有害物質に人体や環境が汚染される危険もあるため、おすすめできない方法です。
モニターやプリンターの対応もほぼ同じ
モニター(液晶・ブラウン管)の法律上の取り扱いはパソコンと同様です。
(有機ELモニターは2023年現在では資源有効利用促進法の対象外であるため、粗大ごみとして扱われます)
プリンターはパソコン本体ほどリサイクルに厳しくなく、燃えないごみや粗大ごみとして回収できる自治体がほとんどです。詳しい分別方法はお住まいの自治体のルールに従いましょう。
パソコンの処分方法のまとめ
- 現在メーカーから販売されているパソコンを廃棄する場合は、メーカーに無料送付して処分する
- 法人向け・古い・自作・メーカー不明などでPCリサイクルマークがないパソコンを廃棄する場合は、パソコン3R推進協会に連絡し有償で引き取ってもらう
- 環境省認定の無料引き取り業者や買取業者を利用して処分費用を抑える選択肢もある
様々なケースを想定したため複雑そうな記事になってしまいましたが、パソコンは家庭ごみに出せないということだけ抑えておけば問題ありません。
手持ちのパソコンを処分する際にどのような方法が取れるのかを調べておきましょう。
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